“お金はただの紙”…だから女は横領した2014年宮沢りえ主演邦画『紙の月』(ネタバレ)感想

2014年作品

2014年サスペンス邦画『紙の月』。久々に地上波“午後ロー”での邦画。邦画こそ版権問題があるのか放映し辛いらしい…洋画は期限切れると幾らでも放映出来そうですものね。何故、この映画を地上波に今持ってきたのかとも思うけど不況の今だからこそかもしれない。

この世界線もバブル崩壊後の不況が舞台…と言っても、不況の時代に私自身が新社会人と言う年のフリーターだったので経験では不況と感じたかはどうとも言えないし…若いからこそ、見えてなかった部分はある時代。

それでも働けばそれなりに貯めて稼げた時代でも、まだあったと思う。フリーターなら尚更。 それにしても、不況関係なくいつの時代も犯罪があるしニュースになってる。どうして自分の欲で道を外すのか…とも思うけど、映画は不倫で欲に溺れてる。依存でもある。そして、主人公の真っ直ぐな純粋さもあるが‘学生時代から最初から歪んでた’結果でもある。

…やはり子供時代の歪みが大人になっても補正されてなければそうなるよねと言ういい例である。そう言う原作小説でもあるんだろうけど?原作は読んでませんので何とも言えないけど。

 さて、早速、あらすじと感想を書いていこう。

映画『紙の月』あらすじ

バブル崩壊後梅澤梨花(宮沢りえ)は銀行員の契約社員から社員に昇格。訪問で小口を進める担当も前任今井から引き継ぎ、なかなか辛口な老人平林にも契約を諦めず進める。梨花の勤勉でマニュアル通りでない案内で心を動かされ平林は契約を結ぶ事に。

平林にお茶!と言われ今井はやったぞ…と言われ仕方なく台所でお茶を入れる梨花。その台所に平林が梨花の後ろに立ち…梨花は気付かずにいたら家に入ってきた平林の孫 光太が声を掛ける。梨花は隙があり過ぎて気付かなかったが、平林は後ろにいた。

光太に梨花の後ろ…肩に葉っぱが付いていたから取ろうと思ったんだよと話す。 梨花は何事もなく銀行に戻った。

銀行に戻り、その話題になった。その契約に上司も浮き足立ちセクハラで肩を撫でながら、今井さんと違って…と口を滑らせそうになりながら“梅澤さんは魅力的だから”と話す。 今井は本社に栄転かと思われたが、退職すると言う事で送別会もしようとの話になった。

其処で梨花は久々に皆と呑み、同僚の相川(大島優子)や辞める今井とも楽しくし一次会で夫(田辺誠一)の待つ自宅へ帰る。ただ、帰宅途中、駅で平林のところで会った孫の光太(池松壮亮)と会う。 明らかに好意を持ってる様に話す光太を背に、家路に着く。

 夫 正文とは仲は悪くないが、持ち家で悪くない暮らしで梨花自身がパートから社員にならなくても良いくらい、裕福ではある。ただ、子供が居ないだけの仲の良い夫婦だが梨花の中ではズレがあった。其処を正文には伝えてなかった。

 梨花は順調に仕事をこなし、今井から引き継いだであろう老夫婦・認知症を抱えてる様な家賃収入でも裕福な老女も相手にしていた。 今井の居ない銀行では隅(小林聡美)が銀行を細かく見ている。幾らパート上がりの梨花でも相川の担当の事を変わりに梨花がやってはいけないと、指摘したり。

 そんな目もある中、梨花はある日不意に立ち寄った買い物で1万円が足りなくなり、化粧品を1点減らしても足りなく、契約者の老女がたまたま下ろして欲しいと前日言ったのを忘れ銀行に戻す様に言ったお金を…借りてしまう。

罪を感じ、購入品はロッカーに預けつつ、銀行貯金の自分の講座から1万円を下ろして預かったお金に戻した。

怖さを感じる梨花だが、夫への不満を何度として駅のホームで見かけたら光太との不倫で倫理観を既に止められてはいなかった。 忙しい夫が上海勤務で付いてくるのが当たり前と言う姿勢で“相談ではなく決定”して話した事も、その前の“時計”のプレゼントの価値観や感覚も違う。夫婦間のズレを報連相せずに自分の中で抑え、それが梨花が崩れる引き金になっていた。

 不倫に溺れ、光太が平林に金を無心に来ると聞いても最初は自分で何とか貸そうと思っていたが…ある日、平林から預かった200万を銀行に戻す際に、平林から銀行に電話。 光太から“金の話しをされただろ、関わるな”と一方的に叱責され梨花はまた引き金が入り、その預金を光太に渡す事に決め、預金から其れを戻す手続きを相川に頼んだ。

早くお金を手に入れたい梨花は預金の手続き取り消し用紙等をすぐ様、パート時代で得た知識で管理の鍵を開け取り消し手続きを進める。 其れをまたしても隅に指摘され…手続きは何があっても担当者が鍵開けから持参からしなければならないと又、指摘される。

 梨花はお金を持ち、取り消しの証明を胸に隠し、逆に預金の証書を平林に見せる用に作成。その証書を暗い中でアイロンを掛けていた所を夫が帰宅し、驚く。 其れを見られて梨花は逆ギレの様に私は赴任(1年)には着いて行かないと怒った様に放った。

 毎日、自転車を走らせ、訪問先に行き嘘の投資話や偽の証書迄考え始める梨花。光太との不倫で彼に良くしてあげる事で…歯止めが効かなくなった。

相川はそんな様子が少しづつ変わっていく梨花を、女性が多いし見られてますよ持ち物とか…色々と促し、相川自身の秘密(不倫)の話しなどもする。 梨花はそれでも、“分かりやすい形(夫からの贈り物)”で愛されてるだとか、お金を触ってると手癖が出そうと伝える。

相川のそんな言葉に一つ一つ噛み締め、素直に受け取る梨花。 そして、ランチ1人で外で出た時にはたまたま隅と一緒になり、素直な気持ちをぶつけてしまう。 梨花はとても素直な面は昔からだ。

それは光太にも話す。 光太と街でデートしていた時に、大学のサークル活動で一緒の同級生に話しかけられて思い出した様にピロートークで言う。 “昔、キリスト系女学校で寄付をしていた、被災者に寄付をしてその被災の子供から手紙が来て嬉しくなった…だがその先も寄付したが来なくなった”と。光太はただ何も言えず、梨花は光太を抱き寄せた。

 思えば、その寄付行動から梨花の“お金への価値観”がおかしかったのだと…其れは、梨花の中でしか知らない話しなのだった…。 その女学校時代からの倫理観が始まりだったのかもと徐々に思い出す………。

映画『紙の月』ネタバレ感想

不倫をした梨花はその情熱的な日、純粋で健やかにしか育ってこなかったが人生初めての朝帰りに日に見上げた、“指で擦れば消える月”に遭遇した。 その儚くも小さく見えた月は指で隠したら…一瞬にして消えた様に思えたソレは、画面だと一瞬。

でも梨花の時間の体感だと一瞬だっただけで、ホームでは実際には長い間…かもしれないし、朝寒空のそのホームには長く立っていないだろうけど身体は火照っていて寒いと感じるまでの間の何分間で雲間にたまたま消えたかもしれない小さな月。

 其れが梨花の1番のお金のタガがハズレたキッカケ。 その月の事を隅さんと、“やった事のない事で朝まで起きてる事”を隅は未経験で梨花は初めてしたと対比で話し、ソレキッカケで“お金は紙じゃないですか”と言い切る。

梨花と隅は対比かもしれない。“同じ様に純粋に正しく真面目に”人生を生きてきた。 だが、梨花の倫理観自体は女学生時代に、既に壊れている。シスターが‘困っている人に自分で出来る範囲の寄付を’と言うのを履き違えて、親の財布から5万円寄付する事を悪いと思っていないから。

 もし、梨花も学生時代のその苦い思い出を修正されてたら隅になったかも知れない。

冒頭は逃亡先のタイから始まったらしいが見逃してしまった。今日の午後ローは邦画だったからか早い時間からったそうだ。だが、いつもと変わらない日常と言った意味で銀行員の働くシーン(梨花がよく自転車移動で訪問してるシーン等)が出ていたであろう。

この映画自体は見るの10…数年振り。夫がレンタル等して見た記憶がある。 2度目でも、衝撃だったのはクライマックス。梨花が逃亡するシーンだった。

 冒頭からの感想だと、やはり顧客の平林が今で言うカスハラ(カスタマーハラスメント)が過ぎるやりとりから、ムカついてお金を孫の光太の為に使っても良いのかもと言うキッカケはあるかもしれない場面。だが、最終的に光太も(浮気で)無くしカードを作ってしまい偽装だらけになり横領した梨花は色仕掛けで平林に定期を頼む…。

その時、平林は結局素直なエロジジイだっただけで、契約は考えてやっても良いと親身になってくれる面も持つ人だったと言うだけで全面的に悪い人では無いと言うオチだった。 キッカケを平林のせいにした様な梨花は色仕掛けを直して恥じて家を出たよね…。

 結局、梨花の元からのお金に対する価値観と倫理観が歪んでる事は、きっと原作小説には描かれてたのかも知れないが、映画だけだと‘女学生時代の倫理観と、平林と言うカスハラきっかけで狂った’位の感覚で何億も使い込んだと言う設定である。

 …それにしても1番言いたいのは浮気相手役の大学生 光太(池松壮亮)がイケテナイと言うクズ人間。顔も良くないし、ただ梨花を慕ってるだけで、何で梨花は光太の純真そうな顔にやられたけなのか?

兎に角、クズ堕ちシーンが気持ち悪い。人のお金をじゃぶじゃぶ湯水の様に使うのは…昔政治家良く逮捕されてたけど、今は政治家民主主義と言いつつ独立主義の様に人の税金じゃぶじゃぶ使ってるんだろうなこうやってと思ったら腹が立って仕方なかった。

相川役の大島優子が悪の囁きしてる割には、上手い事寿退職で辞めると言う…怖い存在だったなと。でもお金の数えかたは銀行員らしからぬ上手くはなかった。

 この映画キッカケに本当にパートから正社員の格上げも考えものだなと世間は思ったのではないかなと思わせる一作だと思う。 まぁ、どの会社にも倫理観テストみたいなのを年1でも良いからやるべきなのかなと思ってしまった。 派遣とかバイトとか関係なくね。

この映画の舞台がバブル崩壊後と言うから、派遣社員はなかった時代よね。あっても契約社員・パートくらい。 本当に怖いな…人事とか試験してるのかなと思わせる昇級性。

いやでも、梨花が途中、老女のお金を戻すフリして他の銀行に自分の貯金口座作っちゃうとかアシが付くのをまず何でしたのかなって思った。まぁ、昔は金利付いたから増やして戻せば良いかと思ったのかもとも思ったけど。

知識少しでもあればどの銀行に口座作っても其れが“証拠”になって財産があれば当然、納税が発生する。なら、タンス預金にしてしまえば良かったのにと思ったんだけど。 自分の家じゃない家…夫のお城にお金を置くのが嫌だったのかなとか思った。

もっと古い7.80年代のドラマならトイレのタンクの中とかに隠し財産とかしてたけどね。 裏帳簿付けてるから、後から返そうかとも思ってたのかな…とか自分のやる範囲をどこまでバレないかとやってたのかとか?

途中、裏金工場の様に最初は自宅でFAXコピー機で証書作ってたけど、アパート借りてプリンターも買ったりしてた。光太に与えたマンションとは別に。 ソレも…アシが付くからこの女は賢いのか分からないなとも思った。

だが、相川が上司との不倫で証書を誤魔化すことなんてあると言う言葉で人を脅したり堂々としてきた。 クライマックスでは隅に素直に自分をぶつけるんだけどさ…。

其れは隅も真っ当に生きてきて述べる言葉も、真っ直ぐ過ぎて全て正しいんだけど…其れの言葉の攻防が小林聡美の演技の上手さを今では感じられる…当時は宮沢りえだけが上手く感じてたが。

最後…そんな隅さんに対して梨花は‘私は朝帰りで変わった’とでも言う様に“貴女もこの手を取れば変われるよ”とでも言う様に、一緒に行きますか?のセリフには驚いた。巧みな言葉選び。梨花と言う人間が一言で分かる。

 今見るとやはり古い世界線だけど今も昔も、会社の体制はパワハラで移動やカスハラある職場や、油断すれば横領がありOLはランチをするコミュニティは変わらない面もあるなと感じた。

実際に遭った女性銀行員横領事件

 実際の女性の横領事件を題材にこの原作小説書かれたのでは?と言われてるが、何を参考にしたか原作者の角田光代は明らかにしてないし、歪な恋愛を…お金を貢いでしか恋愛できない”事を書きたかったらしいけど。

実際の横領事件を調べたら確かに女の銀行員横領事件は多いみたい。良く題材では?と思われたのが、滋賀銀行9億円横領事件・足利銀行2億円詐欺横領事件・三和銀行オンライン詐欺事件が挙げられてた。

滋賀銀行9億円事件は、奥村銀行員と山県タクシー運転手の昭和41年からの事件。奥村35歳、山県26歳…2回目偶然会った時をキッカケに交際をし奥村が結婚を最初から意識していた。山県は競艇癖があり奥村が貢いでいた形。 

奥村の顧客に定期預金とハンコまで預けられたのをキッカケに、山県が横領を持ちかけ手を染めた事件。 最悪なのは奥村は銀行との裁判で粛々と借金を返し出所を早められてその後も返したとあるが、貢がれた側の山県は返してないと言う話し…。

昭和50年の足利銀行2億円詐欺横領事件は足利銀行栃木支店の貸付係・大竹章子(23歳)が架空の預金証書で2億円詐欺したって話し。秘密警察(今で言うFBIの事かな?)をしてると言う阿部が大村と名乗り、貢いだそうだが…これはと言うかこれも結婚詐欺師で阿部は貢がれた金で豪遊。 大竹は阿部が助けに来てくれると信じてたらしい。

三和銀行オンライン詐欺事件は、昭和56年。伊藤本子銀行員が南敏之に貢ぐ為に横領。オンラインシステム自体珍しかった当時はリアルタイム処理はされてない仕様だそうで。事件当日、開店と同時に伊藤は大阪府茨木市の三和銀行(現UFJ)で大阪の2店と東京の2店の支店に分配。

そのまま早退し伊藤は南にお金を渡して自身はマニラに逃亡と言う…美人銀行員が“好きな人の為にやりました”と言うセリフで当時、ドラマになったそうです。 伊藤には刑務所にファンレターも届いたとか…という昔からあるんですよね、被害者(加害者)にファンレター。

伊藤自身は刑期、仮釈放の後、結婚。南は実は結婚してて旅行業を失敗と言う過去がありました。(参考:三和銀行オンライン詐欺事件判決文など)

いずれも過去すぎる事件。今現在犯人は、亡くなってるか高齢者か…でしょう。 では今は一介の社員で横領出来る事は無いと言う事なんでしょうね、流石に…。

この映画自体…原作小説は惰性の恋愛よりは、刺激的な恋愛を描きたかったと言う事だけど。“普通の主婦が”をメインにするけど文章では…やはり創作物、そこに“容姿”が含まれるよね。‘綺麗な犯罪者’だから魅力的で浮気が出来、絵になる…。“普通の主婦”では無い。

 魅力的だからこそ成り立つ物語…が、小説だが、現実も負けないくらい容姿だったりその人達の歩んだ歴史が濃い………。“人に歴史あり”と言うのが本当に深い。過去の事件を調べ読むと確かにそのままドラマになりそうと思うほど、壮絶。

だからこそ、この映画のヒロイン梨花は若い女学生の時に培われた偏見そのままに、ひた隠しにしてきたかも知れないけど其れが人生に出てしまったんだね。そして、最後はタイへ逃亡し、きっとこの作品の中ではタイで暮らしているのかもしれない…。

当時は面白いとしか思わなかったかもだけど、今は大学生との不倫が気持ち悪いし、お金に不自由無い生活なのに証書工場作って家荒れてマヌケだし他銀行に預金して爪が甘いし。横領する為に色仕掛けや偽チラシ作りは、もう横領が楽しくなっちゃってるのでは位に思う。

言う程、梨花は無表情で可愛くないよねと言う最後側の印象。梨花の仕事始めの印象は明るく楽しそうだったのに…。 もう笑えなくなったら女性は綺麗じゃ無い様に見えてしまうかな。悲しい終わりかた。彼女自身は幸せじゃ無いだろ。

私も色々あって顔面神経痛の様にそこまで笑わない。普通に面白い時は笑うけど…とても接客業向きでは無い。よく12年も映画館スタッフやってたと思う笑。 美人は美人で笑わないと冷たくも見えるね。たまに冷酷無比なヒロインは笑わないけどこのヒロインは、段々笑顔なくなった。

 宮沢りえはのちにずっと付き合ってたと言われる森田剛君と結婚するね。宮沢りえは、貴花田(貴乃花)と付き合ってた時、りえママが大変そうと言うニュースになってたよね。今は前の旦那さんとも片付いて、森田くんと結婚して良かったねと。

森田くんはまだTVで見るけど、宮沢りえ自体、最近の映画“人間失格”位かな、久々にメディアに出たのはと言うイメージだが、今年の秋くらいの映画にも出るらしい。 TVより舞台が多かったのかなと懐かしさすら感じる。

多分、今回、ヒロインの宮沢りえよりも大学生役の池松壮亮が近年“シン・仮面ライダー”で活躍したので地上波に踏み切ったのか?全く…今とイメージは違うしこの映画だとクズ過ぎる。ただ、池松壮亮自体この役は“1ミリも共感出来ない”と思いながら役に挑んだのがせめてもの救い。

前回の映画感想(2023.7.10↓)

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