まず、オープニング前に、渥美清さんに捧ぐと出てましたが、そりゃそうですね。 お正月映画と言えば、寅さん! それが、90年代まで続いたんですね…。 山田洋次監督が、毎年、正月(お盆もらしい)映画として作ってきた作品、それが、男はつらいよです。男はつらいよの同時上映は、同じく山田洋次監督の“釣りバカ日記”。
釣りバカは、原作が漫画ですから、完全オリジナルではないです。 寅さんが、渥美清なら、釣りバカは、西田敏行と、このダブルキャストと言うか2作品でやってきたシリーズ作品。渥美さんが亡くなってからは、釣りバカ単体で映画もした事があるが、本当にセット作品で、ちょうどと言って良いほど、もう、シリーズを見ている側は慣れてしまった。
私と寅さんの出会いは、子供の時。両親が、映画好きで知り合って、正月映画を毎回、見に行っていた。それが、寅さん。ただ、同時上映の釣りバカは、子供の私にとっては、早かったし、下品に思えた。“合体シーン”。それで、主に西田敏行が苦手になったと言っても良い。
寅さんだが、言わずと知れた国民的役者さんなのだ、渥美清さんは。正月映画の定番作品ながらも、山田洋次監督自身も、素晴らしい監督です。代表作は“幸せの黄色いハンカチ”。純朴な、昔ながらの日本を撮らせたら流石!と言ったものです。
さて、この、2人が届ける作品ですが、『寅さん』は、‘フーテンの寅’と呼ばれるテキ屋さんです。お祭りなんかにいる、商売人です。現地で仕入れ?して、現地で売る…人かな? 寅さんが、行く道中で、恋に落ち、上手くいくかいかないか、毎回、繰り返し。寅さんの想い人は、いつしかマドンナと呼ばれてきました。
フーテンだけど、浅草柴又には、腹違いの妹さくらが住んでいて、お兄さんとして、祖母祖父が住むその家にいつも帰っています。 いつも、振られるけど、上手くいく時もあり…だけど、所帯を持てない。
大体が、最初、夢落ちして、良い事がある!と思っても夢だったりする。 そして、山田洋次監督が、こうも、全国回るフーテンの寅さんのお陰で、各地の地域活性化にも、繋がってたそうです。ロケ地として、行った先々は、やはり、観光で賑わいます。それもあり、山田洋次監督に、来て欲しい地域も多かったと聞きます。
今なら、聖地巡礼といった感じでしょうね。 また、社会風刺も兼ねて、作品を作り出してきたとも、言われてます。 笑いあり、涙ありの作品…寅さんは、渥美さんが亡くなるまで、48作品、続きました。49作目は実は、リマスター版として、マドンナ回数が多いリリーの回が再上映されたものです。今回は、50作目とは、なりますが、CGで蘇る?どんな、作品に成るかと、見に行きました。
まず、渥美清さんへの言葉で始まり、佐藤蛾次郎演じる源ちゃんと寅さんが歩く姿が、リマスター版で流れる。其処に!寅さんのあの、主題歌…なんだけど、主題歌?ん?声が違うぞ…誰が主題歌の前のいつもの、寅さんの自己紹介言ってるの?と思ったら、今回、主題歌を歌う桑田佳祐!え…?君の名は。みたいに、最初のオープニングは、桑田佳祐のPV風でした…。
桑田佳祐は、歌は上手いし、主題歌でも良いと思ったけど、歌の前や、歌の中盤の口上…セリフが、渥美清さんの印象強くて、他の人が言うと、なんか違う…と思った。 最初のオープニングは、そんな想いで始まりました。
最初の満男の思い出のシーン。初恋のゴクミ(後藤久美子)演じるイズミとの若かりし2人のシーンが、砂浜と海の波が合わさり、ちょうどキレイに映像が重なり素敵な絵柄で始まる。 映画の始まりのシーンは、いつだって、素敵なシーン。 そして、満男の夢落ちだっだと言う、寅さんの始まりと同じ設定。
其処から始まり、やはり、時々、ちゃんと寅さんが思い出のシーンとして、蘇る。4Kデジタル修復と、謳ってるように、凄くキレイに映像が蘇ってる。ただ、現代の絵(映像)が、暗めな気がする。
多分、意図的にそうしてると思う。寅さんのシーンをより、際立たせる為に…故に、寅さんのシーンは、鮮やかな映像だ。 時々、本当に寅さんがCGで蘇ってるシーンはあるが、基本、昔の映像を修復した映像。
ストーリー自体、山田洋次らしい笑いあり涙あり、そして、長年の寅さんのメンツが揃ってる。さくらが出てくるだけで泣けるし、他の寅さんを囲んでいた人達が出るだけでも、ボロ泣き。私は、ずっと泣き笑いを繰り返してた。 長年見てきてた、お婆ちゃんお爺ちゃんは、昔と同じ笑いを劇場に響かせていた。そうだ、コレが、山田洋次だ。渥美清だ。
山田洋次監督は、渥美清さんが亡くなってからは、他の作品を撮っていたが、やはり、寅さんを越えられないのかなと言った感じだった。だが、やはり、寅さんを撮って、山田洋次が帰ってきた!と思わされた。
ただ、ごくみの本当に翻訳家が日本語を翻訳して喋ってるみたいな言いかた…棒読みが、気になった。え?元々、こんな話しかたなのかな???と、思った。確かに、満男とイズミが出てる回を私も見てた筈だが、昔のゴクミが思い出せない。 寅さんがたくさんのマドンナと会い、恋をしてきた。その一作一作を思い出せるかと言ったら、出来ないように…思い出せない。
ヒロイン…今回は満男のマドンナとしての、ゴクミの棒読みが気になって仕方なかった。 満男の、いつもの純朴で優しくて、気弱そうな吉岡秀隆さん演じる満男が、好きだ。昔から見てるからだし、話しかたが、凄く柔らかで、可愛い声で、好きだ。
満男が主役じゃ無かったら…見に行くかわからなかった。 満男が、小説家と言うのもビックリだし、別映画の“三丁目の夕日”でも、吉岡さんは、小説家を演じてるのに、同じ役で…なんか、笑えた。
ヒロインのイズミに家庭があるのに、満男との甘い切ない初恋を、そして、情熱があった恋の道を思い出して、イズミは最後、満男の胸に飛び込んでくるんだけど…え?不倫…。不倫を容認するとも、見える。
まぁ、外国人と結婚する位、イズミと言う女が自由奔放で気性が激しいというか、そんな女性だから、分かる気もするんだけどね…。少女時代は、そんな印象だったかどうか。前作を見ればわかるはずだが。 満男を其方側に染めないで欲しかった。 まぁ、満男が男らしく見えて、演出上も、僕から俺と言っている。ただね、続きも作れそうな終わりかたもしてるけど、続かないだろうなぁ………。 今回は、寅さん50周年記念作品だから。
あと、個人的には、倍賞さんのさくらが、好きです。倍賞さん、本当に可愛くて。若い頃も美人で。柔らかくて、大好きです。
色んな思いで見てしまったので、感情が、わかりませんが、やはり、笑いあり、涙あり、お正月映画と言えば、寅さん!が帰ってきたと思ったし、結果的に良かったとしか、言えない。 星は、寅さん大好きファンなら、星5つでしょう。世間の評価は、3〜4かもしれませんが。 寅さん大好きなら、是非!見て欲しい。見るべき。懐かしいもの。
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